2026年04月26日公開

個人事業主のガソリン代は経費にできる?按分・走行記録・勘定科目の考え方

営業先への訪問、仕入れ、現場移動、配達などで車を使う個人事業主にとって、ガソリン代は毎月発生する大きな支出です。ただし、自家用車を仕事にも私用にも使っている場合、給油額をそのまま全額経費にするのではなく、仕事で使った分を説明できる形に整理する必要があります。

Mika Tanaka 交通費リサーチャー 読了時間: 算出中
個人事業主のガソリン代経費を表す帳簿、領収書、車、ガソリンスタンドのイラスト
ガソリン代は「支払った証拠」と「業務で使った割合」をセットで残すと整理しやすくなります。
更新時点:2026年4月26日。この記事は一般的な整理方法を説明するもので、個別の税務判断は事業内容、車の使い方、帳簿の状況で変わります。申告前の最終確認は国税庁の最新情報や税理士に確認してください。

結論:仕事で使った分は経費にできる

個人事業主のガソリン代は、仕事のために車を使った部分であれば必要経費として整理できます。たとえば、取引先への訪問、商品の仕入れ、現場への移動、配達、撮影場所への移動など、売上や業務に直接関係する移動に使った燃料費です。

一方で、同じ車を買い物、家族の送迎、休日のドライブにも使っているなら、給油額を丸ごと経費にするのは無理があります。国税庁の必要経費に関する案内では、家事関連費のうち必要経費になるのは、取引記録などに基づいて業務に直接必要だった部分を明らかに区分できる場合の、その区分できる金額に限られると説明されています。

基本の考え方

経費にするガソリン代 = 給油額 × 業務利用割合

つまり、重要なのは「領収書があるか」だけではありません。領収書やクレジットカード明細は支払った事実を示す資料で、走行距離や訪問先の記録は仕事で使った割合を説明する資料です。この2つを合わせて残すと、後から見直しても根拠が分かります。

ガソリン代の按分方法

ガソリン代の按分で使いやすいのは、走行距離を基準にする方法です。月の総走行距離のうち、仕事で走った距離が何kmかを記録し、業務利用割合を出します。車を毎日使う人でも、月単位で記録すると続けやすく、会計処理にも使いやすい数字になります。

走行距離ベースの按分

業務利用割合 = 業務走行距離 ÷ 総走行距離

たとえば、1か月の総走行距離が1,000km、そのうち仕事で700km走ったなら、業務利用割合は70%です。月のガソリン代が24,000円なら、経費にする目安は16,800円です。私用分の7,200円は家計の支出として分けます。

曜日や用途がかなり固定されている人は、走行距離以外に利用日数や稼働日数で按分する方法を検討することもあります。ただし、車は距離によって燃料を消費するため、ガソリン代については走行距離ベースの方が説明しやすい場面が多いです。

走行記録に残す項目

走行記録は、完璧な書式よりも継続できることが大切です。ノート、スプレッドシート、会計アプリ、スマホのメモなど、後から見返せる方法で残しましょう。税務上の説明資料として使う可能性を考えると、日付、目的、行き先、距離、給油記録がそろっていると安心です。

記録項目残す理由
日付2026年4月10日帳簿や領収書と照合するため
目的取引先訪問、納品、仕入れ業務との関係を示すため
行き先〇〇市の取引先、倉庫、現場私用との区別をしやすくするため
走行距離往復42km按分率の根拠にするため
給油額8,600円実際の支出と結びつけるため

毎回の移動を細かく書くのが難しい場合でも、月初と月末のメーター、業務移動の主要記録、給油レシートをそろえるだけで整理しやすくなります。配送や訪問が多い仕事なら、地図アプリの履歴や業務日報も補助資料になります。

勘定科目の考え方

ガソリン代の勘定科目は、会計ソフトや事業の管理方針によって変わります。よく使われるのは「車両費」「燃料費」「旅費交通費」です。どれが絶対に正しいというより、事業の実態に合い、継続して同じルールで処理できることが大切です。

勘定科目向いているケース注意点
車両費ガソリン代、車検、修理、保険など車関連をまとめたい中身が見えるよう補助科目や摘要を使うと便利
燃料費ガソリン代や軽油代だけを分けて管理したい車両費との使い分けを決めておく
旅費交通費移動費全体として管理したい電車代や駐車場代と混ざりすぎないよう摘要を書く

たとえば、営業車や配送用の車を日常的に使うなら「車両費」でまとめると年間コストが見やすくなります。出張や訪問が中心で、電車代や高速代と一緒に移動費として見たい場合は「旅費交通費」でも管理できます。会計ソフトに標準科目がある場合は、それに合わせると決算時の集計が楽です。

計算例:月の給油額を按分する

実際の計算は、まず月の給油額を集め、次に業務利用割合を掛けるだけです。ここでは、ガソリン代24,000円、総走行距離1,000km、業務走行距離700kmの例で見てみます。

項目金額・距離計算
月のガソリン代24,000円給油レシート・カード明細の合計
総走行距離1,000km月初・月末メーターなどで確認
業務走行距離700km訪問、納品、仕入れなどの合計
業務利用割合70%700km ÷ 1,000km
経費計上額16,800円24,000円 × 70%

この計算を毎月行うのが面倒な場合は、実態が大きく変わらない範囲で月次の按分率を固定し、定期的に見直す方法もあります。ただし、仕事の内容や走行距離が大きく変わった月は、固定率のままにせず、その月の実態に近い割合で見直した方が安全です。

ガソリン価格が変わると月額も変わります。距離と燃費から燃料費を見積もりたい場合は、当サイトのガソリン代計算ツールで業務走行距離を入れると、月ごとの予算作りに使いやすいです。

領収書・帳簿・電子データの保存

国税庁は、個人で事業を行う人に向けて記帳や帳簿等の保存について案内しています。ガソリン代についても、支払った証拠と帳簿への記録を残すことが基本です。紙の領収書だけでなく、クレジットカード明細、電子レシート、会計ソフトの仕訳データも確認できるようにしておきましょう。

電子取引データの保存については、電子帳簿保存法の案内も確認が必要です。ネット明細や電子レシートを使う場合、紙に印刷して終わりではなく、電子データとして検索・確認できる形で保存する扱いが関係することがあります。細かな要件は変わることがあるため、国税庁の最新案内を確認してください。

資料役割保存のコツ
給油レシート支払日、金額、油種、店舗の確認月ごとに封筒やスキャンで整理
カード明細支払先と金額の確認給油分にメモを付ける
走行記録業務利用割合の根拠日付、行き先、目的、距離を残す
帳簿・仕訳申告書作成の基礎勘定科目と摘要を統一する

よくあるミス

  • 自家用車なのにガソリン代を全額経費にしてしまう
  • 領収書だけ残して、仕事で使った距離を記録していない
  • 毎月の按分率を決めたまま、仕事内容が変わっても見直していない
  • 車両費、燃料費、旅費交通費を月ごとにばらばらに使っている
  • 電子明細や電子レシートの保存ルールを確認していない

特に多いのは、支払いの証拠だけはあるのに、業務利用割合を説明する資料がないケースです。ガソリン代は金額が小さく見えても、年間では大きくなります。月1回でもよいので、走行距離と給油額を並べて確認する習慣を作ると、申告前の整理がかなり楽になります。

FAQ

仕事専用の車であれば全額経費として整理しやすいですが、仕事と私用が混ざる自家用車では、業務利用分を按分するのが基本です。領収書は支払証拠であり、業務利用割合の根拠は別に必要です。

働き方や走行距離が大きく変わらないなら同じ考え方を継続できます。ただし、仕事量、訪問頻度、車の使い方が変わった場合は、実態に合わせて見直す方が自然です。

仕事の移動で使った高速代や駐車場代は、その利用目的が明確なら個別に経費として整理しやすい費用です。私用と混ざる月極駐車場などは、車の利用実態に応じた按分を検討します。

まとめ

個人事業主のガソリン代は、仕事で使った分を必要経費として整理できます。ポイントは、給油額を集めるだけでなく、仕事で使った割合を走行距離や利用記録で説明できるようにしておくことです。勘定科目は車両費、燃料費、旅費交通費などから事業に合うものを選び、継続して同じルールで処理しましょう。

毎月の給油額、総走行距離、業務走行距離を残しておけば、按分計算は難しくありません。まずは今月分から、レシートと走行記録をひとつの表にまとめるところから始めると、確定申告前の負担を減らせます。

執筆・確認メモ

本記事は、個人事業主が自家用車を仕事にも私用にも使う場面を想定し、ガソリン代の按分、走行記録、勘定科目、保存資料を実務上の確認順に整理しています。

税務上の扱いは事業内容や記録状況によって変わるため、判断に迷う場合は税理士や税務署に確認してください。